個人事業主の買掛金について

当事務所では個人事業主さまからの個人民事再生の依頼を多く扱っております。

個人事業主様の個人民事再生手続きを行う上で、必ず問題となるのが「買掛金」の弁済です。
どういうことかといいますと、個人民再生の手続きは
申立⇒再生委員との面談⇒再生手続開始決定⇒再生計画案の提出⇒認可決定
という順序で進んでいきますが、再生手続開始決定が出ますと、開始決定前の原因に基づいて
生じた債権は支払ってはいけないことになります。(民事再生法84条)
なぜなら、それらの支払いは、個人民事再生の手続きに従って、
縮減された額を支払うことになるからです。
そうすると、開始決定前に買掛で仕入れた材料費はどうなるのでしょうか?
これらの買掛金は「開始決定前の原因に基づいて生じた債権」となるので、
再生手続きの開始決定後は支払ってはいけなくなります。
しかし、支払いをしないと、相手は取引の応じてくれなくなりますので、事業の継続は難しくなります。
ちなみに、開始決定後に生じた買掛金については、それが債務者の業務や生活等に関する費用であれば
「共益債権」となり、支払いをすることができます。(民事再生法119条2項)
同じ買掛金なのに、開始決定前と、開始決定後で、扱いが異なるのは困ったものです。

そこで、民事再生法では、「債務者が、再生手続開始の申立て後再生手続開始前に、資金の借入れ、
原材料の購入その他再生債務者の事業の継続に欠くことができない行為をする場合には、裁判所は、
その行為によって生ずる債権を共益債権とする旨の許可をすることができる。」と定めています。(民事再生法120条)
つまり、裁判所の許可があれば買掛金の支払いができるのです。

しかし、申立前の買掛金についての救済規定はありませんので支払いをすると偏頗弁済となります。
既存の業者との取引を継続したいのであれば、現金での同時交換取引に移行した方がよいでしょう。



このページのトップへ